cinematekuteku’s blog

映画の個人的な感想をつらつらと述べます。

『突然炎のごとく』

トリュフォー作品は

あこがれ

大人は判ってくれない

に次ぐ、3作目。

2人の男が1人の女に翻弄される物語。ジュールとジムは同じようで違う。似ているようで似ていない。途中2人の衣装がそっくりなシーンが何度かあり、遠くからのカットはとても似ているがやはり違う。何が違うって、カトリーヌの愛し方が違う。ジュールは彼女の側に居続けた。ジムは彼女から逃げた。2人ともそれしかなかったから。

それぞれに別の女や男がいるけれども、それはあくまでも背景でしかなく、これはこの3人の話。ジュールとジムの友情は絶対だった。友情には永続性があるけれども、愛情の儚さたるや。しかし時に愛情は友情をも脅かす。

破天荒なカトリーヌが魅力的だった。「私をつかまえて」と言って駆け出すシーン、すごく好き。

彼女は作中で2回川に飛び込む。1回目は女を蔑むジュールに腹を立てたのかと思ったけれども、多分そうじゃない。話に夢中な2人の気を引きたかった。2回目も気を引きたかったという点は同じ。「私はジムと愛し合ってるのよ、彼をどこにもやらないから、ちゃんと見ていて」というジュールへの主張。飛び込む直前はあの女神に似た微笑み。全ての男を魅了した微笑み。

トーリー自体に意外性はないけれど忘れられない作品となりそうです。

 

それにしても、「ヌーヴェル」ヴァーグももう55年以上前なのね。なぜかみていて漱石の小説のような堅さ?のようなものを感じた。